かけご飯の代表格といえば納豆です。このページでは納豆について紹介します。

納豆とは

納豆とは大豆を納豆菌で細菌発酵させた日本の発酵食品です。茨城県、福島県を中心とした関東地方、東北地方では郷土料理として親しまれています。「納豆」「納豆汁」などが冬の季語であることや、「納豆時に医者いらず」という諺があったように、納豆の季節は冬です。

納豆の歴史

11世紀半ば「新猿楽記」に「納豆」という語句が書かれていました。つまり、平安時代には納豆という言葉が存在していました。現代の主流の納豆、糸ひき納豆は「煮豆」と「わらの菌」がたまたま作用し偶然に糸引き納豆ができたとか。(大豆は縄文時代に伝来)戦国時代に武将のたんぱく源やスタミナ源となり、江戸時代には京都や江戸において「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩いていました。戦時中は軍食用として、戦後は日本人を救う栄養食として食べられ、普及していきました。かつては手前味噌ならぬ手前納豆があり、それはその家庭にしかない味として大切にされていました。1960年代以降は、発泡スチロール容器が使われ消費拡大につながりました。今日のように、全国的に見られるようになったのは平成になってからと言われています。
元来精進料理として納所(なっしょ…寺院の倉庫)で作られた食品であることが、名前の由来にもなっています。

納豆の栄養

血液凝固因子をつくるのに不可欠なビタミンKやたんぱく質が豊富で、食物繊維も豊富に含まれています。1日に必要な食物繊維の量が20gなのに対し、納豆1パックに含まれる食物繊維は3gです。これはニンジン1本分に相当します。納豆菌の一部には安定した芽胞のまま腸内まで生きて到達してビフィズス菌を増やし、腸内環境を正常化する効果があります。また、殺菌作用も立証されており、O157を殺菌することが分かっています。

納豆の食べ方

納豆の食べ方は、人による好みだけでなく地方差もあります。糸を引いて空気を含むようによく練ると、ふんわりとした食感で食べられます。これは、先にタレなどを加えると水分過多となってしまい、粘りがあまり出なくなってしまうからです。
納豆を叩き刻んで味噌汁にいれた納豆汁は、江戸時代までは納豆ご飯よりも頻繁に食卓に上がっていました。

納豆に合う薬味

醤油やタレの他、和辛子を加えるのが一般的ですが、鶏卵やうずらの卵、ネギ、みょうが、大根おろし、削り節、海苔、青海苔などを合わせて食べることも多いです。とろろ、めかぶ、オクラ、なめ茸など、納豆同様に粘り気のある食品と混ぜることもあります。ネギや辛子を加えると、納豆のアンモニア臭を抑える効果があります。

納豆の香り

納豆菌を使用して発酵させるため、納豆菌特有の香りがあります。68種類の匂い成分がある中で、「ピラジン」はアーモンド・ココア・パン・味噌・醤油にも含まれる香りです。中にはアンモニア成分も含まれており、発酵が進みすぎた場合や、10℃以下で保管されていると時間とともにアンモニア臭が強くなります。近年では匂いを抑えた製品も市販されています。

納豆の作り方

一般家庭でも納豆を作ることが出来ます。必要なものは、十分に蒸した、あるいは茹でた大豆と納豆菌(納豆そのもので代用可)と、納豆菌が生息するのに適度な温度(30~45度)、適度な湿度、適度な時間(1~2日)、十分な酵素です。適度な温度や十分な時間がないと納豆にならずに煮豆のままとなります。適度な湿度がないと乾燥大豆になり、過剰な時間だと腐敗同然のアンモニア臭が満ちることになります。
伝統的な納豆の作り方は、蒸した大豆を稲の藁苞(わらづと)で包み、40度程度に保温し約1日ほど置いておきます。稲藁に付着している納豆菌が大豆に移行し、増殖することによって発酵が起こり、納豆ができあがります。

アジアの納豆

アジアでは幅広い範囲で大豆を発酵させた納豆が食べられています。

タイの納豆「トゥアナオ」

トゥアは豆、ナオは腐った、臭いという意味です。ひき割り状のものや、ペースト状に潰してせんべいのように薄く広げ、乾燥させたものがあります。乾燥させたものは火で炙って調味料にする他、野外の食事のおかずにします。

ミャンマーの納豆「ペポ」

ペは豆、ポは臭いという意味で、乾いたシダの葉につく納豆菌を利用してつくった発酵食品です。日本の納豆よりやや発酵しており、あまり糸を引きません。潰してスープに入れたり、炒め物に利用したりします。

インドネシアの納豆「テンペ」

ブロック状に固められた形状で、味は淡白でやや納豆に似ています。よほど発酵が進んだもの以外は臭気や苦味はほとんどなく、糸をひくこともありません。インドネシアでは広く料理食材として使われ、最近は日本のスーパーで販売されている場合もあります。

中国の納豆「豆豉」

黒大豆に塩を加えて発酵させ、水分を減らした食品です。塩辛く風味が強いですが、アミノ酸などのうま味成分を多く含み調味料として多用されます。中国南部と四川省での製造が多い一方で、中国東北地方ではほとんど製造されません。

ネパールの納豆「キネマ」

黒っぽい豆が粘り気の強い糸を引き、日本の納豆にかなり近いのが特徴です。大豆を柔らかく煮て、紙を敷いた木箱などに入れて温かい場所に置いて作ります。ネパールでは野菜と炒めて納豆スープカレーのようにして食べられています。

ブータンの納豆「リビイッパ」

大豆を無塩発酵させてから、長いものは1年以上熟成させてドロドロにしたもので、猛烈な臭気を放ちます。大豆を煮てバナナの葉で包み発酵させて潰して丸め、再度バナナの葉に包んでから吊るして熟成保存します。スープの味付けに使いますが、家畜のための常備薬でもあるそうです。

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