お米屋さんの昼メニュー
和食の特徴の一つとして「口中食」という表現がされることがある。白米という下地におかずや汁物や漬物や佃煮や海苔や納豆などが、口中で混ざり合って食の「味」を作りだす、という意味だ。混ぜご飯はこの口中の「味」をあえて食べる前に作り出して、口中へ運ぶという食べ方である。
「口中食」の場合は一口ごとに組合せを変えて味を変えることができる。しかし混ぜご飯は作ってしまったら、食べ終わるまで同じ味だ。だから混ぜご飯を作る場合は、混ぜる具材のハーモニーが良く、かつ最後まで飽きないバランス感が必要になる。具材の味が強すぎると最初は良いハーモニーでも、食べ続けるとバランスが崩れてくることがある。今回は使った塩鮭は焼くと白くなるほど塩分の濃いものだったので、食べているうちに塩分の強さだけが際立ってしまった。
食材のハーモニーを整えるのに便利なのは大葉やミョウガといった香草だ。香りはあるがそれ自体味は強くないので、味の濃い具材と白米の間に微妙な間合いを作ってくれる。そして香草を食感という面から支えるのが炒りごまや海苔や糸昆布といった日本の伝統的な乾物だ。ちなみにお米はやはり脇役のほうが良く、ササニシキであれば最高である。
今回のお米屋さんの昼ごはんは「混ぜご飯二種(塩鮭/カツオの生姜煮)」でした。