世界中で有名になった日本のお寿司
お米を使った日本食の代表選手とも言えるお寿司は今や世界中で食べられる料理となりました。そのルーツから現在のような握り寿司に辿り着くまでの変遷や、お寿司に適したお米についてご説明しましょう。
お寿司の歴史
お寿司のルーツ「なれずし」
お寿司のルーツは東南アジアの「なれずし」にあると言われています。塩漬けにした魚をごはんと混ぜ、数ヶ月~数年かけて発酵させた食べ物で、長期間保管した後に酸っぱくなった魚の部分だけを食べました。長期間の発酵によってごはんの粒が溶けてしまうためです。日本でも奈良時代には既に存在していたようです。
なれずしは冷蔵庫などなかった時代において魚を長く保存するために考えられた工夫でした。独特の風味で有名な滋賀県の郷土料理、鮒寿司(ふなずし)もなれずしに当たります。
室町時代の「生なれ(半なれ)」
室町時代になると発酵期間を数日~1ヶ月とぐっと短くした「生なれ(半なれ)」という食べ方が広がりました。魚だけでなく発酵によって少し酸っぱくなったごはんも一緒に食べるようになりました。現在でも岐阜県の鮎寿司や石川県のかぶら寿司、秋田県のハタハタ寿司など各地で食べられています。
江戸時代中頃に登場した「押し寿司」
江戸時代の中頃になると、発酵させずにお酢で酸味を加えた「押し寿司」が登場しました。酢飯と具を重ねて上からぎゅっと押さえて作るもので、大阪府のバッテラや富山県の鱒寿司などが現在でも有名です。 押し寿司や握り寿司など発酵させずに作るお寿司のことを総称して「早寿司(はやずし)」と呼びます。
現在でも一般的な「握り寿司」
そして江戸時代の終わり頃、1800年代に入っていよいよ「握り寿司」が登場しました。酢飯を手で握って具をのせる握り寿司は現在では最も一般的なお寿司ですが、その歴史は意外と新しいものなのです。
美味しい酢飯の作り方
握り寿司や押し寿司、手巻き寿司、ちらし寿司などには酢飯を使います。炊き上がったごはんに、お酢と塩、砂糖、みりんなどを混ぜた「合わせ酢」を加えて作ったものが酢飯です。
美味しい酢飯を作るコツは、何と言ってもごはんと合わせ酢を素早くムラなく混ぜ合わせること。うちわなどで風を送りながら、お米の粒を潰してしまわないようにしゃもじで全体を切るように混ぜ合わせていきます。うちわで扇ぐのは余分な水分を湯気として蒸発させ、酢飯がべたつくのを防ぐためです。また熱によってお酢の香りが飛んでしまうのを防ぐ意味もあります。
お寿司に適したお米
お寿司の酢飯として使うお米は「粘りが少なめでほぐれやすい」「あっさりとした味わい」のものが適していると言えるでしょう。お寿司屋さんではササニシキや日本晴などの品種が好んで使われているようです。また炊き方としては、少し少なめの水量で硬めに炊くと良いでしょう。