お茶漬け(お茶づけ)とは

本来お茶漬けとは、飯に熱い茶をかけたものです。茶とは煎茶、ほうじ茶、番茶、抹茶など、いわゆる日本茶を指すことが一般的です。しかし、近年では白湯をかけた湯漬けや、烏龍茶やスープ、出汁をかけた場合もお茶漬けと呼ぶこともあります。
夏などには冷やした茶をかける場合もあります。この食べ方は昭和期からTVなどで紹介され、平成期に入っても冷やし茶漬として紹介されました。

お茶漬けの歴史

お茶漬けの始まりは、番茶や煎茶が庶民の嗜好品として定着した江戸時代中期以降と言われています。煎茶には若干の旨味成分が含まれており、白湯をかける湯漬けより美味しいとされていますが、庶民においては番茶をかけるのが一般的でした。
その当時、奉公人らが仕事の合間に食事を手早く済ませる為にとった食事法と言われています。奉公先の質素な食事の中で、漬物は自由にとることができるほぼ唯一のおかずでした。漬物は山のように盛られることが多く、お茶漬けという食事形態の定着に大きく関係したとされます。
また、具を乗せる食べ方が広がり、例えば梅干し、鮭、海苔、佃煮、たらこなどさまざまな食べ物を具として乗せて、お茶漬けを楽しむようになりました。当時の炊飯は一日一回が基本でした。江戸では朝にご飯を炊き、夜は冷ご飯に沸かしたお茶をかけて食べていました。
元禄時代の頃より「茶漬屋」も出現し、庶民のファーストフードとして広く親しまれました。茶漬屋はお茶漬けだけが出されたのではなく、簡単な食事をする場所でした。
お茶漬けは「手早く食事をする手段」「冷えてしまった飯を美味しく食べる手段」「利便性」の理由から重宝され普及して今日に至ります。

インスタントお茶漬けの素

1952年にインスタント食品のお茶漬けである、永谷園の「江戸風味 お茶漬け海苔」が発売されました。
見た目は煎茶同様緑色ですが、出し汁が入っているため塩味があり、おかずを別途に用意する必要がありません。海苔、あられ、抹茶塩が基本で、これに鮭、梅干し、わさび、野沢菜などをフリーズドライ加工したものが入っています。あられは乾燥剤としての役割もあります。
また、最中の皮でお茶漬けの具を包み、これをご飯の上に乗せて湯を注ぐ「お茶漬け最中」や、カップ麺のように具とご飯がカップに入っていて、そのカップに湯を注ぐだけで食べられる製品もあります。

お茶漬けの素の海苔

1980年代以降は刻み海苔の代わりに生海苔にした高級志向のお茶漬けも販売されています。
1990年以降はラーメン茶漬け、中華茶漬け、烏龍茶漬け、カレー茶漬けなど若者嗜好にアレンジされた製品も販売されています。今やうどん、パスタ、だし巻き玉子、浅漬けなどにも応用されています。

お茶漬けの素のコマーシャル

1990年末より茶漬けを豪快に食べるシーンをテレビ、ラジオのコマーシャルに展開し、視聴者は食欲をそそられました。「フーフー、ジュルジュル、ハフハフ、モシャモシャ」と音が響きます。

お茶漬けと似た料理

お茶漬けと雑炊は似た料理として知られていますが、お茶漬けは炊いたお米に茶などの飲料をかけるだけなのに対し、雑炊は炊いたお米を何らかのスープで煮るという違いがあります。
又お粥も似た料理として知られており、特に茶粥はその名の通り茶でお米を炊いたお粥ですが、これも炊いて作る料理であることがお茶漬けとの決定的な違いになります。
その他では、白飯もしくは混ぜご飯に各種の具材を乗せ、その上から出汁をかけた芳飯という料理が室町時代に出現し、現在でも精進料理の一種として供されています。

お茶漬けにまつわる儀礼

お茶漬けは京都弁でぶぶ漬けとも呼ばれますが、京都で他人の家を訪問した際にぶぶ漬けを勧められたり出されたりした際には、たいてい帰宅を催促しているという話も存在します。ただ、現代の京都においてはそのような風習は見られず、日本経済新聞でもぶぶ漬けにそういった意味を込めるのは落語の中の話だとしています。

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