おにぎり、おむずびとは
「御握り」「御結び」など色々な呼び方がありますが、炊いたご飯に味をつけたり具をいれたりして三角形、俵型、球状など手のひらにのる程度の大きさに作ったものです。
携行食、保存食として発達しましたが、現在では大手コンビニエンスストアの海外進出とともに世界各国で日本のおにぎりが食されるようになってきました。
おにぎりの歴史
弥生時代後期の遺跡である「杉谷チャノバタケ遺跡(石川県)」から、1987年におにぎりと思われる米粒の塊(炭化したもの)が出土しています。
この炭化米には人間の指によって握られた跡が発見されました。炊かれて握られたというより、粽に近いものとされています。
神奈川県からもおにぎり状にかたまった炭化米が発見され、2009年には横浜で古墳時代後期の遺跡から、弁当箱に入れられたおにぎりとみられる炭化した米の塊が発見されました。
おにぎりの起源は、平安時代の「屯食」だと考えられています。
この「屯食」は戦国時代の兵士や畑仕事の携帯食または招待客へのもてなし用でした。
この頃のおにぎりは楕円形をしていてかなりの大型(一合半)で、使われたのは蒸したもち米でした。鳥の卵に似ていることから「鳥の子」という別名もありました。
白米食(おにぎり)が庶民に広がったのは明治時代とされています。
おにぎり弁当
1885年日本で最初の駅弁「おにぎり弁当(栃木県宇都宮駅)」が発売されました。黒ゴマをまぶした梅入りのおにぎり2つと沢庵を添えて竹の皮で包んだものです。
日本独特の食文化の「駅弁」はもっとも日本食らしい「おにぎり」から始まりました。
給食のおにぎり
明治22年、山形県鶴岡市の小学校から給食は始まりました。
貧困のために昼食を持参できないという子供たちのために始まった給食は、「おにぎり」、焼き魚(塩鮭など)、菜の漬物でした。
おにぎりの飯
ジャポニカ米は冷めてもデンプンが硬くなりにくく、味が落ちない為おにぎりに向いています。
一番多いのは白米ですが、コンビニのおにぎりでは、「冷めても美味しい」ために低アミロース米が用いられることも多いです。
低アミロース米とは、もち米とうるち米の中間のお米で、普通のうるち米より良く粘り、つやつやして柔らかいご飯になります。
おにぎりの海苔
生海苔の他、板海苔、刻み海苔、味付け海苔などがあります。海苔は日本人にとって身近な海産物の一つで、特に板海苔を利用することが多いです。
海苔は栄養が豊富で、手にご飯がつかないという便利さから、おにぎりに海苔を巻く習慣がつきました。
板海苔
江戸中期には海苔をそのまま広げて乾かした「展延法」と呼ぶ方法で作られた海苔が食べられていたとされています。
江戸時代の品川沖は江戸前海苔の産地で、江戸前寿司に利用されていたとか。
海外のおにぎり
おにぎりは日本だけの食文化ではなく、米作地帯(中国、台湾、韓国)などでも作られています。
台湾のおにぎり「飯團」
日本のおにぎりとは少し違い、もち米が使われています。
具材も少し甘めの豚肉そぼろや揚げパンなどで、朝ごはんの定番として親しまれています。
ハワイのおにぎり「スパムむすび」「おにポー」
ハワイ在住の日系アメリカ人によって考案されました。
適当な厚さにスライスしたスパムを、生またはフライパンで味付けして焼き、お米の上に乗せて海苔で巻いたものです。見た目は握り寿司に似ています。
中国のおにぎり「草包飯」
中国福建省で食べられているおにぎりです。
ご飯に肉、ソーセージ、しいたけなどを具として入れ、編んだ草の袋に詰め込んで携行するものです。
タイのおにぎり
おにぎりに不適なインディカ米を主食としていますが、うるち米ではなくもち米(カオニャオ)を球状に丸めて草の葉に包んで携行する習慣があります。
韓国のおにぎり「三角キムパプ」
1990年代はじめから国内のコンビニで日本のおにぎりを参考に販売されました。
具はキムチにして海苔や具の創作工夫がなされ、2000年代始めから売れ始めました。
「三角キムパプ」の名称で人気商品となりました。
あなたはおにぎりを何と呼びますか?
おにぎり・・・日本の大部分で、特に西日本(東京・神奈川も)
おむすび・・・東日本(関東~北海道)
握りまま・・・青森県
つつこ(包子)・・・福島県(木の葉で包む)
おにんこ・・・栃木県
おつくね・・・福井県(まとめる、つくねるの意)
じっかまま・・・九州の一部
むっすー・・・静岡県
約90%の人が「おにぎり」、約9%の人が「おむすび」と呼びます。
おむすびと呼ぶ約30%が中国地方の人で、1週間のおにぎり消費量は地方別で1位の4.6個です。