日本酒とは

日本酒(清酒)とは、米・米麹・水を原料として発酵させてこしたもので、料理の調味料としても使われます。
また、百薬の長とも言われ、適量での飲酒を心がけていれば、健康に非常に良いと言われています。
このページでは、時代ごとの酒の移り変わりを簡単にご紹介します。

酒造好適米

酒造りに適した米を酒造好適米と言い、食用米に比べて粒が大きく、米の中心部にある心白という部分が大きく、たんぱく質や灰分含有量が少ないことが大切です。しかし、技術の進んだ現在では、食用米を使用する場合もあります。
心白部はデンプンが少なく柔らかい部分で、麹菌の菌糸が中心に伸びやすく、強い酵素力のある麹ができ、酵母・醪などの糖化も良いとされています。

酒造用水

全体の約80%が水分である日本酒の醸造において、水質がとても重要になります。
酒造用水は、製造しようとする純米重量の総量の20~30倍必要を言われています。

時代ごとの酒

日本列島に住む人々が米を原料として酒を造るようになったのは、稲作、水稲の耕作が定着し、安定した米が収穫できるようになってからのことです。
つまり、縄文時代以降、弥生時代にかけて水稲耕作が渡来定着した後で、西日本の九州、近畿での酒造りがその起源と考えられています。

口噛みの酒

加熱した穀物をよく噛み、唾液の酵素「ジアスターゼ」で糖化、野生酵母によって発酵させる「口噛み」というもっとも原始的な方法を用いていました。
酒を造ることを「醸す」と言いますが、この語源は「噛む」によると言われています。
この「口噛み」の作業を行うのは、巫女に限られており、酒造りの仕事の原点は女性からだとされています。

カビ(麹)の酒

携行食の干し飯が水に濡れてカビが生えたので、それを用いて酒を造らせ、その酒で宴会をしたとか・・・。
麹カビの糠化作用を利用した醸造法で、現在の日本酒と相通じるものがあります。

江戸時代の酒

新酒、間酒、寒前酒、寒酒、春酒と一年間に計5回仕込まれていました。
中でも冬季の「寒造り」が最も優れていることが明らかになり、低温、長期発酵といった醸造条件が重要視されました。

明治時代の酒

国は税金の収集を強化し始め、「酒税」もその対象となりました。自家醸造が「密造」とされ完全に禁止となりました。
木樽や小壺に入れ量り売りをされていた酒ですが、明治19年に瓶詰めが行われ始め、明治42年には一升瓶が開発されました。
酒造りにおいて、急速な近代化の時代となりました。

大正時代の酒

一升瓶が普及し始め、各地での自分たちの水と米に適合した酒造りの研究が盛んになり、昭和50年代以降の地酒ブームや吟醸ブームの流れの延長線上になりました。

昭和時代の酒

昭和初期に堅型精米機の発明、温度管理や微生物の管理が容易なホーロタンクの登場、現在も使われている酵母として最も古い清酒酵母である6号酵母の採取、分離、純粋培養といった技術革新が相次ぎ、昭和10年までに酒造りの近代化、効率化を迎えることになります。
昭和39年には「ワンカップ大関」が登場し、酒の消費形態が変化しました。
また、昭和62年には辛口のビールが発売され、ヒットしました。良い酒とは辛口といった感覚や、食生活の欧米化により日本酒が白ワインの代替品として飲まれたこともあり、淡麗辛口の日本酒が好まれました。

平成時代の酒

淡麗辛口ブームも終わりの方向になり、濃醇系の日本酒のシェアが回復します。
日本酒が日本国内で売れなくなった消費低迷期に、国外で消費を伸ばしたのが吟醸酒でした。古代に日本酒が醸されて以来、品質的には史上最高水準に達しています。
海外で日本食ブームが起こり、吟醸酒ブームの中心も日本ではなく海外となります。
イギリスでも日本食人気の高まりを反映して、伝統あるワインコンテストで新たに「SAKE」部門が設置されました。

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